ヴェネツィア⑨ 黒いパスタ

旅行記

前回

 ドゥカーレ宮殿から外に出ると、結構な人数が入場のための列を作っていました。ハイシーズンではないとはいえ、世界的観光地。やはり行きたい場所はなるべく午前中の早い時間に行っておくことが望ましいでしょう。

 ドゥカーレ宮をゆっくり散策すると数時間はかかります。すでにお昼近くになっていましたので、昼食を食べに行くことにしました。まずはヴァポレットに乗ってリアルト橋の方に向かいます。

 大運河(カナル・グランデ)沿いの美しい風景を見ていると、リアルト橋が近づいてきます。「白い巨象」とも呼ばれる、ヴェネツィアを象徴する橋です。

 共和国時代、このリアルト地区は経済の中心であり、地中海貿易の中心でもありました。香辛料価格の相場などはこの地で決められ、欧州中の商人がリアルトの動向に目を光らせていました。現代で例えるならばニューヨークといったところでしょうか。

 昼食はOsteria ai Promessi Sposi。各種口コミサイトでも評判が高く、コストパフォーマンスも優れているお店です。サーモン、フリット、そしてイカスミのパスタをいただきました。なかでもイカスミのパスタは潮の香りもあって、とても美味しく満足しました。
 ヴェネツィアは観光客向けのお店が多く、中には費用対効果の良くない店も少なくないと聞きます。口コミサイトを鵜呑みにするのも時として危険かもしれませんが、まったく不案内な地にあっては心強いツールでもあります。そういったものに頼らずに、自分の嗅覚でいいお店を見つけてみたいという気持ちもあるのですが、そのバランスはいつも少し悩みます。

 このオステリア(イタリアのカジュアルなレストラン。居酒屋というような意味も)の近くにはサンティ・アポストリ教会(Chiesa dei Santi Apostoli)があります。鐘楼があるので、かなり目立っています。この周辺はほかのヴェネツィアの地区同様、観光客が多いのですが教会の中は人が少なくて静かでした。午前中、ドゥカーレ宮殿をじっくりと見学したこともあって少々疲れていたので、昼食と合わせてこの教会で少し休ませてもらいます。

 さて、体力も回復したところ今回の旅で非常に楽しみにしていた場所に向かいます。ヴェネツィア海洋史博物館です。

 地中海貿易で巨万の富を得て、大国の狭間で強大な力を持ち続けたヴェネツィア共和国。彼らがどのような船で航海し、どのように交易をおこなっていたのか。その歴史を知ることのできる博物館です。再びヴァポレットに乗り、リアルト橋からドゥカーレ宮殿の方に戻ってきました。ここから大運河沿いに歩くと海洋史博物館に到着です。

閉まってました。

 どうやら改修中だか何だかのようで、営業していないようです。合わせて、300メートルほど離れたところにある船のパビリオン(英語でShips Pavillionと書いてあった)の案内が掛かれていたので、素直にそれに従います。

こちらがシップスパビリオン。

 当初の目的を果たせずに、残念な気分で少し油断していましたが、こちらにも立派な復元されたガレー線が展示していあります。正直、それほど期待していませんでしたが、なかなか見ごたえがあって楽しい場所です。こういった船がかつてはヴェネツィアの運河を行き交い、そしてさらに大きなガレー船でコンスタンティノープルとの間を往復していたのかと、共和国の繁栄に思いを馳せます。

つづく

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